プロフィール
山口敏太郎(やまぐちびんたろう)
1966年7月20日徳島県生まれ。作家・オカルト研究家。神奈川大学卒業後、日本通運入社。96年に作家デビュー後、多様な分野にわたるエッセーや論文、小説コンテストにおいて11回の受賞歴を経てプロ作家に転身。独立し現在に至る。妖怪・UMA・UFO・都市伝説などの不思議分野において本格的な解説ができる作家としてテレビ・ラジオに多数出演。




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【216】絶滅危惧種ウナギの不思議な幼体「レプトケファルス」
2017年07月28日

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レプトケファルスのイラスト

 今年の土用の丑の日は7月25日と8月6日だが、ここ何年か、土用の丑の日に絶滅危惧種のウナギを食べていいものなのかと疑問を呈する声が上がっている。

 ウナギは万葉の時代から滋養強壮の食材としてタンパク質はもちろん、ビタミン類、特にビタミンAが豊富なことで知られており、夏の暑い時期を乗り越えるために栄養が豊富なウナギを食べようという風習が我が国にはある。

 しかし、2014年に国際自然保護連合によってニホンウナギは「絶滅する危険性が高い絶滅危惧種」に指定された。日本でのウナギの乱獲は世界的な問題となっている。

 また、ウナギの価格は高騰を続けているため、密漁が横行し、暴力団の介入も指摘されている。ウナギの消費が続くと反社会的勢力の資金源になることも危惧されているのだ。

 そんな中で土用の丑の日だからといって平気でウナギを食べるという風習は、現代にそぐわなくなってきているというわけだ。

「日本ではウナギの養殖って盛んなんじゃないの?」と考える方もいるかもしれないが、ウナギの養殖は天然のシラスウナギを捕獲して育てる。つまりシラスウナギそのものが捕獲できなければ、養殖することも困難なのだ。

 シラスウナギは謎が多く、近年までどこからやってくるのか不明だった。2006年になって魚類学者の塚本勝巳教授の研究によって、世界中でたった一か所、グアム島の西側にあるスルガ海山がニホンウナギの産卵場所だと解明された。

 ちなみにウナギの完全養殖、天然資源に頼らない養殖にも成功しているが、コストが非常に高いために市場に出回るようになるまでの道のりは険しい。

 稚魚の前段階である子魚が死にやすく、アブラツノザメの卵が餌だが、このアブラツノザメも絶滅危惧種の候補だ。さらになぜか養殖ではオスばかりに育ってしまう。

 その生態に不可思議な点の多いウナギだが、今回のテーマである「レプトケファルス」こそ、そのシラスウナギのことだ。ニホンウナギだけでなくカライワシ上目の魚の幼生の総称だ。

 シラスウナギという呼び名からも分かる通り、見た目はシラスのような細く白い魚で透き通った体を持つ。大きさは大体5センチ程度。これが1メートルほどのウナギに成長するのだ。

 しかし、幼生であるにもかかわらず巨大な固体が捕獲され話題になったことがある。なんと、その大きさは1・8メートルにも及ぶ。時は1930年、デンマークの海洋調査船が南大西洋のセント・ヘレナ島近くで捕獲したものだ。前述のように5センチのレプトケファルスが1メートルに成長すると計算すると、このレプトケファルスは36メートルにもなってしまう。

 ヨーロッパでは「シーサーペント(海洋で目撃された細長く巨大な体を持つUMAの総称)の正体が判明した!」と話題になった。その後も大型のレプトケファルスは捕獲されたが、成体は見つからないままだった。

 この巨大なレプトケファルスは1960年代になって正体が判明する。変態途中の固体が採取されたことによって、深海に広く生息するソコギス亜目という魚類の幼生である可能性が高いと指摘される。

 そして変態後も大きさはそれほど変わらないことも分かってしまった。どうやらシーサーペントの幼生ではなかったようだ。

 そもそもウナギが、レプトケファルスが非常に特殊な生態を持つのだが、その特殊性ゆえか、伝説上の生物と結びついてしまった。ウナギの生態の解明も進むことを願う。

【関連動画】レプトケファルス幼生 – Leptocephalus



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